マイルストーンという言葉は社会に出るまであまり聞いたことのない言葉かと思いますが、スケジュールやタスク管理とは異なる概念を指します。プロジェクトや作業を進めていくうえで重要な考え方になりますので、今回はマイルストーンとは、スケジュールとの違い、必要性を説明していきます。
マイルストーンとは
マイルストーンは直訳すると「マイル(距離)」「ストーン(石)」です。しかし使われている意味としては、中間地点という意味になります。
語源としては、道路や鉄道において中間地点を表す標石として利用していたことから「マイル(距離)」「ストーン(石)」と呼ばれるようになったようです。そのため、マイルストーンと言われれば、スタートからそれぞれの地点ごとの中間距離と考えれば良いということです。
ビジネスシーンにおけるマイルストーン
ビジネスシーンにおけるマイルストーンは上記の意味とは少し異なります。ビジネスにおけるマイルストーンは、「プロジェクトにおける節目や主要なチェックポイント」になります。
今回はSIerのシステム開発のプロジェクトを例に説明していきたいと思います。ただ、システムエンジニアでなくてもわかりやすい内容で説明しくのでご安心ください。
SIerにおけるシステム開発のプロジェクトでは以下の工程に分かれます。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- 製造・試験
- 導入
- 運用・保守
もっと細かくすることもできますが、大体このような工程と掴んでいただければ問題ないです。この工程ごとにマイルストーンが設定されます。(工程の節目がプロジェクトにおける大きなチェックポイントになるため)
マイルストーンとスケジュールの違い
マイルストーンとスケジュールの違いや、タスク管理と何が違うのかがいまいちわからない人もいるかと思います。スケジュールはそのプロジェクトの期間を表すものであり、そこにチェックポイントはありません。
また、タスク管理はプロジェクトにおいてどのような作業があるかを洗い出し、期日を設定して管理することです。そこに節目やどこがチェックポイントなのかという情報はあまり可視化されていません。
逆にマイルストーンは細かいタスクを洗い出す必要性はありません。大体の作業がわかり、適切なチェックポイントを設けることができれば良いのです。
マイルストーンのメリット
マイルストーンを利用することには3つのメリットがあります。プロジェクトを成功させるうえでマイルストーンを利用する事は効果的であるため、メリットをきちんと理解したうえで活用しましょう。
プロジェクトの全体像を共有できる
スケジュールとマイルストーンをうまく組み合わせる事でプロジェクトの全体像およびどのような工程があるのかを把握することができます。それを資料に落とし込み、お客様や内部で展開することによって、プロジェクトメンバがゴールを意識した状態で作業を進めることができます。
目の前のタスクしか見えていないプロジェクトメンバだけではプロジェクト全体の成功は難しいでしょう。個人がプロジェクトの全体像、スケジュール感を意識して参画することによって、高品質な成果物を期日以内に作成することができるのです。
プロジェクトのクリティカルパスを把握できる
![道筋](https://liberte-works.jp/wp-content/uploads/2021/07/アイキャッチ2-1-1024x576.jpg)
マイルストーンを作成することによってクリティカルパスを把握することができます。クリティカルパスとは複数のタスクがある中で、そのタスクが遅れるとプロジェクト全体の進捗が遅れるようなタスクのことを指します。
工程の節目を決めることで、その工程が遅れたら次工程から先の全ての工程が遅れることになります。そのため、いつまでにこの工程のこのタスクを完了させる必要があるというのを明確にする必要があります。
期日感を整理することができる
マイルストーンを作成する際には、どこに節目を置くのかというだけでなく、その期日を設定しましょう。そうすることでその工程がいつまでに完了しなければならないのか、また、そのためには何が必要なのかを把握することができます。
スケジュール通りにプロジェクトを進めるために必須な事は作業の細分化および逆算です。この工程の終了期日に対してどれだけの作業があるかを把握し、そのために各タスクをいつまでに終わらせなければならないのかを明確にする必要があります。そのうえでプロジェクトメンバに共有、作業指示を出すことが重要です。
マイルストーン活用のコツ
マイルストーンを適当に作成してはプロジェクト自体が失敗してしまいます。マイルストーンを作成する際のコツや活用時のコツについて説明します。
工程、タスクを洗い出す
プロジェクト全体を通してどのような工程があり、その中でどういったタスクがあるのかを洗い出しましょう。この日に何をするかまでは洗い出す必要はありませんが、最終成果物が何なのか、どこを節目とするのか、その節目までに何ができていないといけないのか、そのために何が必要なのかを書き出しましょう。
そうすることで具体的にどこを節目として、その節目のために何をすれば良いのかをプロジェクト全体に共有することができます。
ゴールまでの道のりを明確にする
節目とした工程のゴールが何なのか、またプロジェクト全体のゴールが何なのかを明確にしましょう。何の目的で、何を達成したらゴールなのかがプロジェクトメンバに共有されていないと、プロジェクトメンバの生産性が落ちることがあります。
また、ゴールを設定する際には可能な限り必要なことを洗い出しておきましょう。そうすることで具体的に何をしていけば良いのかがプロジェクトメンバを把握することができ、モチベーションの向上にもつながります。
チェックポイントを設ける
節目をチェックポイントとして設けるのは当然ですが、その工程においてさらに中間チェックポイントを設けると良いでしょう。なぜなら工程の最後の節目において、何かしらの作業不備が発覚した場合、設定した期日どおりにプロジェクトを進めることができなくなるためです。
プロジェクトの遅延はお客様としては出費が増える要因でもあり、自社でもコストがかさむ要因になります。あらかじめ中間チェックポイントを設けることによって、節目(ゴール)に向かって正しく向かえているのかを振り返るきっかけになります。
期日を適切に設定する
マイルストーンを作成する際には期日を設定すると効果的です。しかし、「何となく」や「大体これくらい」という感覚で決めてしまっては作成する意義がありません。
上でも述べましたが、ゴールを設定することで必要なタスク、作業を把握することが必要です。そのうえで、各作業にかかる作業見込み時間を算出し、根拠のある期日を設定しましょう。
マイルストーンとガントチャート
マイルストーンを作成したら、それをガントチャートに落とし込みましょう。ガントチャートはプロジェクト管理でよく用いられるタスク、スケジュール管理ツールの1つで、多くのツールがリリースされています。
ガントチャートとは
ガントチャートはそれぞれの工程に対して、いつから始めて、いつまでに完了しなければならないのか、という情報を記載した表になります。基本的には縦軸にタスクや作業担当者が割り振られ、横軸はプロジェクトの期間を表します。
粒度はガントチャートによって様々で、プロジェクトが長期に渡る場合はマスタスケジュールとして横軸が月単位であることもありますし、工程期間内のガントチャートであれば横軸は日にち単位で作成されるでしょう。
ガントチャートについては以下の記事で詳しく説明しているため、ぜひこちらの記事もご覧ください。
![](https://liberte-works.jp/wp-content/uploads/2021/06/5-300x169.png)
まとめ
いかがでしたでしょうか。マイルストーンは社会に出るまであまり聴き慣れない単語だとお思います。しかしマイルストーンはプロジェクト管理していくうえで重要な要素です。
また、プロジェクトを管理する立場のメンバだけでなく、プロジェクトメンバ全員がマイルストーンを理解したうえでプロジェクトに参画することでプロジェクトの成功にグッと近づきます。同じ目標を持ったメンバで仕事をした方が良いのは明確ですよね。
マイルストーンはスケジュールやタスク管理とは別概念であり、利用するメリットや活用のコツを紹介しました。この記事を読んであなたの仕事に役に立てば幸いです。お付き合いいただきありがとうございました。
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