ガントチャートとは?3つのメリットと使い方を解説

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プロジェクト管理や生産管理などで用いられるガントチャートですが、初めて利用する人は「そもそもガントチャートって何?」という状況です。今回はガントチャートとは何か、なぜガントチャートを使うのか、ガントチャートのメリットを解説します。

目次

ガントチャートとは

「ガントチャート」とは、プロジェクト管理や生産管理などに用いられる表のことを指し、横軸に時間、縦軸にメンバーや作業内容を配置し、工程やタスクごとの作業開始日、作業完了日を記したものです。実際にプロジェクトが始まった際には実績を追記し、予実を管理することも可能です。

このガントチャート は、特にIT業界でよく使用されており、作業の期間と作業内容がひと目でわかるのが特徴です。

ガントチャートの歴史

ガントチャートの起源は、機械工学者兼経営コンサルタントのヘンリー・ガントさんによって1903年に考案されましたプロジェクト管理手法です。

プロジェクト管理における各工程、作業を細分化して階層で表示し、全体の作業の流れ、作業進捗を管理するものとされています。

ガントチャートを考えていく上で重要な要素であるタスク管理、マイルストーンについては以下の記事で説明しておりますので併せてお読みください。

ガントチャートの必要性

プロジェクト管理においてガントチャートはなぜ有効なのでしょうか。その理由としては、プロジェクトをチームで行うためです。個人で作業する際においてもガントチャートを利用する例はありますが、基本的にプロジェクト管理をするような事案はチームで行われることが多いです。

ガントチャートでは、作業内容、作業期間、作業メンバーを共有することによって、プロジェクト全体の進捗を把握することが可能です。大規模なプロジェクトになればなるほど、プロジェクトの全体進捗を把握することは難しくなります。そのため、進捗を把握することができるガントチャートは多くのプロジェクトで利用されています。

また、チームメンバーは、ガントチャートがあることによって、作業期間、プロジェクトの全体スケジュール、プロジェクトにおける自身の担当領域を適切に把握することができます。プロジェクトマネージャー(PM)は、チームメンバーにそれらがわかりやすく明示されているガントチャートを作成することが求められます。

ガントチャート のメリットは?

ガントチャートのメリットとしては以下が挙げられます。

  1. プロジェクトのマイルストーンを把握できる
  2. 各タスク、工程における進捗を共有できる
  3. 次工程以降のタスクをイメージできる
  4. 期日を意識した作業スケジュールを立てることができる

以下ではそれぞれのメリットについて説明します。

1.プロジェクトのマイルストーンを把握できる

プロジェクト

ガントチャートを利用することによって、プロジェクトのマイルストーンを把握することができます。

マイルストーンは上で述べたとおり、別記事にて解説しておりますので、マイルストーンの理解が曖昧な方はそちらをご参照ください。

簡単に言えば、そのプロジェクトにおいて、どこがチェックポイントになるかが把握することができるということです。

例としてシステムインテグレーション事業(SI)を例に挙げさせていただきますが、

  • 要件定義
  • 基本設計
  • 詳細設計
  • 製造・試験
  • 導入
  • 運用・保守

と、大きく工程を分けたときに、ガントチャート参照することによって、いつまでにその工程の作業を完了させなければならいのかをチームメンバおよびプロジェクトマネージャーは把握することができます。

2.各タスク、工程における進捗を共有できる

先ほども述べたとおり、プロジェクトが大きくなればなるほど、マネジメントする担当者はその進捗を把握しにくくなります。しかし、ガントチャートを利用することによって、それぞれの工程において、どのような作業が存在し、いつまでに完了させなければならない、という情報がひと目で把握可能です。

上記情報を把握したら、あとはその作業担当者や、そのチームのリーダに進捗報告をしてもらうだけでプロジェクト全体の進捗を管理することができます。ガントチャートを作成しただけでは進捗の全てを管理することはできませんので、何をいつまでに完了させなければならないという情報を把握した上で、プロジェクトメンバに進捗報告を依頼しましょう。

例として、あるチームの進捗が芳しくない場合、遅延度、リカバリ方法を報告してもらいましょう。ガントチャートで期日感やタスクはプロジェクトメンバ全員が把握しているため、余裕のあるチームから支援を送ったり、期日の見直しが迅速に行うことができます。

プロジェクトにおいて遅延は発生するものです。重要なのは遅延を起こさないことではなく、その遅延に対して迅速に対応することです。そのためにもまずはガントチャートで作業と期日感を明確にすることが重要と言えます。

3.次工程以降のタスクをイメージできる

プロジェクトを管理する立場にない、いわゆるプレイヤーと言われるメンバたちは、現在の工程のタスクで基本的に手一杯であることが多いです。とにかく今目の前にあるタスクを完了することに全力をかけていますので、次工程以降で自身が何をするのか、今行っているタスクが次工程以降どのように利用されるのかがイメージできていません。

そのため、ガントチャートで次工程が近づいてきたら、早めにチーム分け、タスクを明確にすることが有効です。そうすることによって、メンバは自身が行なっているタスクの目的や次工程における自身の役割を把握することができます。

プロジェクトメンバ全体で次工程以降のタスクイメージを持つことは重要です。重ねてになりますが、現在着手しているタスクが次工程以降ではどのように活用されていくのかが明確になっていない場合だと、どのような観点で作業を行えば良いのかが不透明になり、結果的に品質の悪い成果物が出来上がります。

4.期日を意識した作業スケジュールを立てることができる

作業スケジュールを立てるのは何もプロジェクトマネージャーだけではありません。作業を行うメンバも、与えれられたタスクに対して優先順位を割り振り、どの程度の期間で何のタスクを実施するのかを計画立てます。

そうした際に、ガントチャートを参照することによって、プロジェクト全体としてそのタスクに対する期日がいつまでなのかを把握することができます。つまり、細分化されたタスクを個人がスケジューリングする上でのインプット情報になるということです。そのため、ガントチャートにおける期日の設定は極めて重要と言えます。

ガントチャート のデメリット

プロジェクト管理で多く用いられているガントチャートですが、以下のようなデメリットがあります。以下のデメリットに懸念がある場合は、プロジェクトに応じて利用の可否を検討した方が良いでしょう。

  • イレギュラーに弱い
  • 開発手法による不向き

1.イレギュラーに弱い

ガントチャートは、プロジェクトの全体スケジュールをあらかじめ設定する手法であるため、プロジェクトの途中におけるイレギュラーケースに弱い傾向があります。2020年ではコロナの流行によって対面でのコミュニケーションが難しくなり、作業が思うように進まなくなった企業も多く見られました。

そうしたイレギュラーケースが発生した場合、遅延をリカバリ可能であれば問題ありませんが、致命的な遅延が発生した場合はガントチャート自体を妥当性のあるものに再度修正する必要があります。ガントチャートの修正は、タスクの振り直し、作業スピードの考慮等があり、労力がかかる作業であることは明らかです。

当初計画したスケジュールに沿ってプロジェクトを進めていくのがガントチャートの基本となりますので、こういったイレギュラーケースが発生しやすい案件については利用は要検討と言えるでしょう。

2.開発手法による不向き

ITの開発現場に限られた話になってしまいますが、従来のウォーターフォール型の開発手法ではなく、アジャイル開発を採用するプロジェクトが増えてきました。

ウォーターフォール型では、プロジェクトの初め(上流工程)にシステム要件を確定させ、その後設計、製造、テストという順番で工程が進んでいきます。そのため、プロジェクトの最初に全体のマイルストーンを作成するガントチャートとは極めて相性が良かったです。

しかし、アジャイル開発では、上記ウォーターフォール型とは違い、短いサイクルで要件定義から製造、導入までを実施し、システムの不足分については都度都度要件を確認して再度サイクルを回していくのが基本となります。

そうしたスピード感の中で、ガントチャートを利用することはおすすめしません。アジャイル開発ではプロジェクトマネージャーのトップダウンなプロジェクト管理よりも、メンバ全員で進捗管理ができるようなアプリケーションによる進捗管理の方が向いています。

【参考】ガントチャートツール3選

こちらでは参考として手軽に利用できるガントチャートツールを3つ紹介します。

Elegantt for Trello

個人だけでなく、チームでのタスク管理にも向いているTrelloのカスタマイズ機能として、ガントチャート機能を加えることができます。

こちらは無料で利用できるガントチャートツールとしては操作性、機能は十分でした。ただし、Trelloに課金をしている人には不要かもしれません。

ガントチャートforExcel

Excelを利用して1日、週間、月間、3ヶ月、半年、1年、3年、5年、10年など複数の工程表を自動で作成してくれるツールです。無料で利用可能であること、ビジネスマンにとってなじみ深いExcelで利用可能であることがメリットです。

Excelを利用することのデメリットとしてはプロジェクトメンバ全体への共有が少し難しいというところでしょうか。しかし、それもbox等の外部サービスを利用することによって改善できます。

がんすけ

がんすけの特徴はマウス操作がメインであることです。ユーザにとって扱いやすいUIとなっているため、 PCに不慣れな人でもガントチャートが作成できると思います。

がんすけ2は有料になっていますが、無料のがんすけだけでも機能としては充分です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。これからプロジェクト管理をしていく人、プロジェクト管理はしていないけどプロジェクトに所属している人にとっても重要なことを説明させていただきました。

ガントチャートは作業や期日感の可視化が最大のメリットです。その上でプロジェクトメンバに何を求めるのか、進捗報告ではどのようなことが聞ければ良いのかを考えた上で、プロジェクトに携わっていきましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

Liberte Works編集部です。本メディアでは、「自由に働く」をコンセプトに、働き方や仕事術、転職など、仕事に関する情報を発信していきます。
読書の皆様が働く上で少しでも有益な情報を発信できるよう、1記事1記事丁寧に書き上げていきますので、これからもどうぞLiberte Worksを宜しくお願い致します。

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